2017年09月27日

心荒んだ警備員のゲームレビュー: PUBG

ドン勝 [-かつ]
1. 2017年発売のPC用ゲーム『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』において1位になること。
 勝利時のメッセージ"Winner Winner Chicken Dinner!"の韻を活かした和訳に由来。
2. 同ゲームで1位になると振る舞われるとされる「トンカツ」でも「カツ丼」でもない架空の料理。
 プロデューサーのPLAYERUNKNOWN氏がトンカツもカツ丼も知らないことに由来。

心荒んだ警備員のゲームレビュー: PUBG

…またAKMかよ!全距離ほぼ頭一撃とかARの威力じゃねえだろ!ふざけんなよ!


…今度はKarかクソ!なんで骨董品があんなバカ威力で超精度なんだよ!ありえねえだろ!



…っと、失礼、ライアンです。今「世界一心が荒む対戦ゲーム」をやっています。

生配信サイトから火がつき並み居る古株をあっさり押しのけ、Dota2の独壇場だったSteam同時接続ランク1位へ駆け上がった稀代の化物タイトル・PUBG。

ゲームとしては相当荒削りな造りであるにも関わらず、攻略の自由度や運ゲーであるが故のカジュアルさが受けにうけ、もはや勢いは止まることを知らない。

だがここで1つ問いたい、そんなにPUBGは良いゲームか?DotaやCSGOを押しのけるほどの革命なのか?



= ゲーム性 =



PUBG最大の売りとして「運が左右する要素が多いこと」が挙げられる。

装備・携行品・アタッチメント・乗り物、全てランダムスポーンだし、自分が降り立つ場所もある程度は選べるものの状況次第だ。

「無人島に輸送機で運ばれバトルロワイヤルで生き残る」ゲームの方針としてはまず間違ってない。これは言える。

撃ち合いに自身がなくても装備の集め具合や移動の工夫次第で鬼のキルデスを誇る変態プレイヤーを屠ることができ、

それが誰でもドン勝にありつく可能性を持つ、という「カジュアルさ」に直結するからだ。

と同時に、Call of Dutyも真っ青の理不尽死がひっじょうに多発してしまう。

降り立った地点に先に降りてハンドガンを見つけた奴が居たら死ぬ、
視程外に高倍率スコープとライフルを揃えて待ち構えられたら死ぬ、
入り組んだ建物にショットガン or UZI持ちが居たら死ぬ、
丘の反対側からバイクが突進してきたら死ぬ、
競技エリアの中心で篭ってたら蜂の巣にされ死ぬ、
外周ギリギリを攻めたら回復が追いつかなくなり死ぬ、
1人片付けたと思ったら背後から突然撃たれて死ぬ、
最後の2人にこぎつけても相手が死角に居たら死ぬ、
立ってれば見つかりしゃがんで移動しても見つかり匍匐でも容赦なく見つかり死ぬ…

挙げればキリがないが要するに、

カジュアルさが「運が悪ければどうあがいても死ぬ」という酷い理不尽さの裏返しとなっている。

Skill to Winなゲームなら「今のはクリアリング悪かった」「あの局面は撃ち勝てたはずだから練習だ」と反省点も見えてくるが、

それが全て「運が悪い」で、「まあ、こんな日もあるのさ!次はもっとツイてますように!」で済まされてしまう。

それが良いんだ、それがPUBGだ、という人なら良いだろうが個人的には凄くモヤモヤする。

同じ装備・戦略で再挑戦できる機会がほぼ全く無く、マッチの結果純粋な対応力ぐらいしか養えない、

「あっ!俺上手くなってる!」とか「前と同じ状況!やれる!」というフィードバックがこのゲームには完全に欠落している。


フィードバックの点で言えば、ゲームのシステム自体がマッチの結果をまるで返してくれない。

キルカメラがあれば「あぁ、敵はこの建物に居たのか」→「良い隠れ場所かもしれないから次近くに来たら使ってみよう」と思案できる、

自分を倒した人間を追っかけて観戦できれば上手すぎて参考にならない一部ド変態を除いて他人のスタイルを学習できる、

そんな機能が一切ない。「まあ、こんな日もあるのさ!次はもっとツイてますように!」で済まされてしまう。

勝ち筋が全然見えず、ただ闇雲に走り回る以外なく、大半のドン勝も「相手がヘマやったから」自分に巡ってきたもの。

世の中それを「おもしろい」と感じる人間だけではない。

クッソ面白いよという評判を聞きかじって3300円(Steamセール対象外だから値下げもない)払ったものの

セオリーを掴んで「おもしろい」と思う前に立ち回りがおかしい奴や超反応AIM決めてくる奴にボコボコにされ心折れアンインストールした、

そんな見えざる屍が数多くいることだろう。


それでもソロマッチなら自己責任で割り切れる。もう一つの急務は「デュオ」「スクワッド」の改善だろう。

100人バラバラで殺し合うよう組んであるゲームでチームを組むメリットがあまりに少ない。

BFの小隊のようにリーダーが引っ張ってくれるとかスポットした敵が共有されるとか、チームプレイを勧める機能があるならともかく、

チームアタック有り、味方にしてやれるのはせいぜいアイテム供与と蘇生のみ。

むしろ自分の居場所をバレやすくする目印にしかなってくれない、チームメイトが基本足枷にしかならないのだ。

プレイヤーのマナーは別問題だが、決して協力的な人ばかりでもない。これが心折れる人々に拍車をかけまくっている。



= ゲームの"未完成"さ =



粗を探せばこれもキリが無いゲームだが、おおっぴらに指摘すれば大半の人は「まあまあそう言うな」となだめてくるだろう。

このゲームが、完成品ではないからだ。

Early Access制度自体を貶す気は毛頭ない、それをしてしまえばオープンベータの概念まで否定してしまう。

完成間近の製品を世に出してみて利用者の感想を得る、メーカーとしては大事なことだしSteamという母体のお陰でやりやすくなった。

だが出すからには「すでにほとんど煮詰まってる上で」完成間近としなければ示しがつかない。

積極的に予告はするものの、未だ壁を超えるアクションやNA鯖以外のリーダーボードが実装されない、植生のバグフィックスも不十分、

せっかくのミニマップも何一つ情報を提供してくれない、車の挙動もおかしいまま、EAを免罪符にするにもあまりに「未完成」だ。

出す出す詐欺では待ちきれないユーザーは離れていく。

(…もっともこの異常な過熱具合から言ってある程度離れてくれたほうが、他のゲームも潤っていいような気もしなくもない。)



= 総評 =



「そんなにPUBGは良いゲームか?」 答えはノーだ。少なくとも私の答えはノーだ。

今後のアップデートやEA解除で良くなっていく可能性を差し引いてもノー。

対戦ゲームにあるべき成長や快感が排除された、荒唐無稽な運ゲー。根底からの改修がなされない限りこの評価を覆す気がない。

「DotaやCSGOを押しのけるほどの革命なのか?」 …まあこれはイエスかもしれない。

こういうロワイヤルものが全く流行らなかったアジア圏でこの爆発的人気を産んだ、その結果は数字に出ている。

それでも釈然としない部分は多い、「革命」を名乗るにはあまりにDayZからのパクリ要素が多すぎる(製作者が同じだからしゃーないけど)。


多分合う人には合うんだろうが、合わない自分のような人間には全く合わない、一言でまとめるなら

「なぜ流行ってるんだゲー」なのだろう。



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